寮下宿について
全く新しい環境に挑戦することは、とても不安なこと。まして、地元から遠く離れ、見ず知らずの人や土地の中で、新しい生活を始めることは大きな不安を覚えて当然です。本校では、ほとんどすべての生徒がそんな気持ちで学校、寮生活をスタートします。そして、これまたほとんどすべての生徒がすぐにそんな不安を解消して生活を送れるようになります。
過去に苦しい経験をした場合、それに再度挑戦するのは、とても怖いことです。学校や人間関係で嫌な思いをしたことのある人は、本校のパンフレット、ホームページ等にどんなに良いことが書かれていても、にわかには信じられないことでしょう。しかし、“ほとんどすべての生徒がすぐにそんな不安を解消して生活を送れるようになります。”…これは紛れもない事実。あなたもその一人になれます。
このページの内容は、余市町から遠くに住んでいる人が北星余市に通うために必要となってくる「寮下宿」についてのものです。
この記事を読んで「本当か?」と思った方は、ぜひ一度、学校と寮下宿を見に来てください。見たこともない場所、人ですから、いろいろなイメージを持っていると思いますが、百聞は一見にしかずです。
人はわからないものに対して想像力を働かせ、イメージを補いながら生きています。心配な気持ちのときは、往々にしてあまり良くないイメージを持ってしまいます。しかし、それはあくまでイメージに過ぎません。私たちは現実を知ってほしいと思ってます。現実の本校の生活は、きっと、あなたにとって良いものであると信じています。
一般的に「寮」というと、学校が管理運営しているものを思い浮かべるかもしれません。また「下宿」というと、寝るところと食事を提供するだけのところ、そんなイメージでしょうか。
北星余市では「寮下宿」という呼び方をしていますが、要は余市町民の方のお宅にホームステイをするイメージです。家庭的な雰囲気の中、生活できることが大きな特徴です。
生活の基本は一人一部屋の個室。プライベートな時間を過ごすことは、もちろん確保されています。一方、寮の友達と語り合ったり、ゲームをして遊んだり、先輩に悩みを相談したり、仲間との時間を過ごすことも可能です。最初は不安だらけですが、すぐに友達ができます。同じ不安を持った者同士です。そして、先輩たちが優しくしてくれます。先輩たち自身が不安をくぐって仲良くなった、上の先輩たちに良くしてもらって楽しい学校生活を送れるようになったという経験をしていますから、後輩を気遣ってくれます。
寮の管理人さんたちも親身になって関わってくれます。何でもかんでも干渉するということはありません。必要なとき、ここぞ! というとき、力を貸してくれます。
管理人さんたちがどのような思いで見守ってくれているのかは、各寮下宿のページをぜひご覧ください。
また、実際に生活を送っている生徒にも「下宿生活」について思いを聞いてみました。どんな生活をどんな思いで送っているか、読んでいただければ幸いです。パンフレットやHP、ブログなどもご参照ください。
私たち学校と寮下宿は、車の両輪の関係です。ともに協力し合いながら、生活も含めた子どもの育ちを追求してます。保護者の方も含め、子どもの育ちをみんなで見守ることを追求しています。
繰り返します。「本当か?」と思った方、ぜひ、学校と寮を見に来てください。あなたに会えるのを、楽しみに待っています。
A.「入る側」ではなく「受ける側」の姿勢によっても、人間関係は大きく変わります。人と関わることに苦手意識を持っている子はとても多くいます。しかし、そんな子も入学後スムーズに下宿の仲間、先輩と仲良くなれます。みんな、同じような境遇だからです。
先輩たちは、以前の自分の状況を覚えています。不安の中、入学してくる後輩の気持ちを察し、声をかけてくれたり、面倒を見てくれたりします。
同級生に至っては、同じ不安の中、決意を持って入学したという共通項があるだけで十分です。「どこから来たの?」「何歳?」「なんできたの?」という会話からはじまり、ゲームや本やCDなど部屋にある者をきっかけに話題が広がります。生活を共にするわけですから、日常的な話題もあります。そうして、関わりが自然と深まっていきます。
そして、管理人さんはそんな子たちを多く受け入れてきたベテランばかり。よくよく気遣ってみてくれ、声をかけてくれます。私たち教員も下宿訪問をし、学校も含めて生活の様子を伺いにいきます。
「入る側」が苦手でも、「受ける側」が自然と促してくれる。そんな環境がここにはあります。
A.もちろん、対応しています。持病を抱えていたり、心療内科に通っていたりする子も少なくありません。また、突発的な体調不良や怪我などもありえます。そうしたときにも、管理人さんは我が子同然、病院に連れて行ってくれ、親御さんと連絡を取り合いながら、対応してくれます。
現在抱えている病気、既往歴などがあればご説明ください。薬をお預かりし、飲み忘れのないように管理してくれたり、体調の変化を気にかけてくれます。
A.「うちの子はゲームばかりして昼夜逆転している。そんな子が学校に朝から通えるのか」という相談をよく受けます。ゲームも昼夜逆転も直ります。毎日学校へも通えるようになります。
ゲームも昼夜逆転も、その子の置かれている状況、環境によるところが大きいのです。何も目標がなく、することもない。みんなが活動している昼間ではなく、静まり返った夜だから安心して時間を過ごせる・・・大方、本人はその現状を良いと思っていません。改善できない閉塞感に悩んでいる場合が多いのです。状況、環境が変わったとき、子供の行動も変わります。
寮下宿では、管理人さんや仲間が朝起こしてくれます。「下宿にいても暇」「学校に友達がいる」「学校に行きたくない理由がない」などで、自然と学校に足が向きます。入学前は、自宅の居心地の良い環境で甘えてしまっていた子や、親御さんも共働きで朝早くから出勤され、忙しくなかなか目にかけてあげられない中、気がついたら学校に行っていなかったなんて子も、状況が改善されてしっかりと学校生活を送れています。
A.「掃除、洗濯、料理、家にいても一切何もしない、したこともない子が、家から離れるなんてとんでもない・・・」そう思われるかもしれませんが、ほとんどの子がそういう子でした。「必要は発明の母」そういう状況になると、たくましく覚えていってくれるものです。寮の管理人さん、先輩たちから、あれこれと丁寧に教わることができます。考えてみたら、3年後、一人暮らしをして大学や専門学校に通う子たちはいっぱいいます。ちょっと早い生活の学び、そう思います。
僕は人間関係に疲れて3年間不登校でした。そんな自分が「全日制の高校でおまけに県外で下宿生活していけるのか」そんな不安でいっぱいでした。実際に下宿に入ってみると金髪の見た目が怖い先輩がいたりして、一瞬不安がさらに増したけどわかんないことを聞いたら教えてくれたり、他の先輩には部屋に呼んでもらったりして、話していくうちに緊張がほぐれていきました。
同級生とも勇気出して喋ってみると、お互いの地元の話で盛り上がり、あっという間に仲良くなりました。それからは誰かの部屋に集まってわいわい騒いで盛り上がっていました。こうして過ごしていくうちに、下宿は自分の中で安心できる場所へと変わっていきました。また学校生活に疲れた時は、下宿がもうひとつの居場所となってくれていたのでそこはとても心強かったです。
僕達の期の学校生活は、最初コロナによる休校のためZOOMを使ったオンライン授業から始まりました。久しぶりの学校ということで心の準備をしていた中でのオンラインだったので、なんだか拍子抜けした気分で学校生活はスタートしました。慣れないオンラインでの授業で初めてクラスメイトと会って緊張しました。けれど、インスタやツイッターで繋がってその後はラインを交換してグループを作ったりしてやり取りしていました。学校が始まる頃にはSNSでつながっている人たちとは顔見知りになっていて、6月の学校スタートの時点で何人かとは友達になっていました。それからも友達はちょっとずつ増えていき、学校では職員室に遊びに行ったりしていろんな先生とよく遅くまで喋っていました。
2学期になると前の下宿でうまくいかなかったちょっとやんちゃな感じの同級生が2人寮移動してきました。僕はその時やんちゃな人たちに対して苦手意識を持っていました。
でもその2人はコンビニ行く時に誘ってくれたり、部屋で喋ったりしていました。そのうちに「あ、いいやつかも」と思って苦手意識が徐々になくなりつつありました。
でも人が増えた一方でトラブルも増えていきました。おばちゃんと対立したり、同級生同士の意見の食い違いによる喧嘩が起きたりしました。トラブルは覚悟の上でしたが見てると少しずつ耐えれなくなっていきました。そして自分の中に残っているやんちゃな子に対する偏見、苦手意識が取り除けず疲れ始めました。また同じ時期に学校行事の準備や企画にもっとしっかりと関わりたいと思うようになり、学校に近い寮に移動することにしました。
今まで1年間一緒に暮らしてきた同級生、お世話になったおばちゃんと離れるのは辛かったです。
そして新しい寮でうまく馴染んでいけるか心配だったけど学校で仲のいい友達と先輩のおかげですぐに馴染んで、今はトラブルもなく楽しく暮らせています。ただ今考えると色んなタイプが集まる北星なのだから苦手なタイプの人と下宿が一緒になっても拒絶せず理解しようという努力を捨てないでやってみるべきだった。一緒になったからこそ苦手なタイプの人と歩み寄ることもできると思う。北星はそういう人間関係に困った人が集まる場だからこそ自分が成長できる絶好の場所だと思います。なので、前の下宿でももう少し時間をかけて話し合えばこんなふうに過ごせていたんじゃないかなと後悔をしています。
こんな風に考えられるのも、北星でいろんな人と出会い、話したりしていく中で、自分の中にあった苦手な人に対する偏見をなくし、一緒に何かを成し遂げるという楽しさを教えてもらったおかげだと思います。
2022年度 卒業生
流星寮林奎吾
北星生活を語る上で欠かせへんものの1つに下宿がある。北星の下宿は一般的に想像する下宿とは違って、余市町民のおっちゃんやおばちゃんが下宿をやってて、そこに住む感じ。言うたら大家族みたいなもん。そこでおばちゃん達や友達、先輩後輩との関係の中で成長していけると思ってる。
下宿生活は今まで生きてきた中で一番居心地がよかった。実家よりも断然に。朝起きたらおばちゃんのとこ行って「おはよ~」って言うて朝ごはんを食べる。おばちゃんが「間に合わないよ、早く行きなさい」って言うから食べ終わったらおばちゃんに作ってもらった弁当だけ持って「行ってきます!」って急いで下宿を出る。「行ってらっしゃい!」って聞こえてくる。帰ったら「ただいま~」って言っておばちゃんのとこに行く。そこで今日あったことを話したりする。
下宿には友達や先輩後輩がいて、晩御飯の時とかはみんな集まって話したりする。その中でも仲良い子は遊んだり一緒に映画とか見たりもする。放課後や休みの日もほんまに飽きへん。いつでも誰かはおるから暇なったら人の部屋行ったりできるし、休みの日とかは「なぁ腹減ったよなラーメン行こや」ってなって食べに行く。
テスト前日は、今までやってなかった提出物をギリギリになって、やっとみんなで頑張る。わからんとこは教えあったりするし、なんならその時にやっとプリントを集めてファイルに挟み出す子もおる。それも手伝う。なんなら手伝 ってもらってた。
こんな生活やから、めっちゃ居心地いいし楽しかったな。
けど楽しいだけじゃなく下宿生活で成長もしていったと思う。下宿では決まった時間とかがあって自分勝手に生活はできへん。ご飯の時間、風呂の時間、門限、消灯とかがある。
正直2年まではたまに守れてなかった日もあった。特にお風呂の時間はよく遅れてたと思う。門限も風呂の時間も9時半までやねんけど、門限ぎりぎりに帰ってきてそっから風呂入るから遅れる日もあっておばちゃんや先輩に注意される日もあった。だけど、寮長を任されるようになって人に言うようになったから自分は適当なことはできへん。そこからは時間とかはちゃんと守って生活するようになった。
自分が3年の時は、学校に行きたくなくて朝浜に逃げてもた1年生を探しに行ったり、後輩が学校から帰らされた日には何があかんかったのかをその子が気づくまで2人で話したりもした。そういうのも自分が先輩という立場でまたそうやって人と関わるうちに出来ることが増えていったんかなって思う。
親元を離れての生活やからこそのメリットもある。親と関係が良くなかった子はしばらく離れることによって自然とお互いに関係が改善されるケースもある。また親に甘えすぎてた子は自立した生活をする力もつくと思う。親離れや子離れ出来てない家庭は離れることによってお互いに自立できるとも思う。
下宿生活は洗濯物を自分で洗わなあかんかったり、部屋の掃除も自分がやらな誰もやってくれへん。やから今まで親にやってもらってた子がおるならありがたみがわかると思う。
下宿では性格や趣味、過去が全然違う子達と生活していく中で、みんなで成長していけると思ってる。実際この3年間の下宿生活はばりでかいものやったと思う。卒業して1年以上経つけどたまに戻りたいとも思う。
2020年度 卒業生
みなと下宿西田テオ
あっという間に1年間が終わった。
中学1年生の時、お母さんがネットで北星を見つけたのが私が北星に来るきっかけでした。お母さんに「ここどう?」って勧められた時は私はなんの抵抗もなく「良い」と思いました。なぜなら、親の元から離れたかったからです。別に仲が悪かったとかではなく、私自身がこのままではダメだ、親から離れないとこの先何も出来なくなってしまう。と感じたからです。私の場合は、不登校になってから親に頼りきりで外との関わりを完全に絶とうとしていました。今これを読んでいる子、もしくは親御さんの中にも経緯は違くとも「このままではダメだ」という想いを持っている人は少なからずいると思います。
まず1年間北星生活を送ってみての感想は、来て良かった、親から離れても意外とやっていけるということです。
初めはやっぱり不安と緊張でいっぱい、本当にヤンキーはいるんだろうか……寮の先輩は怖い人が多いんだろうか……と。でも、寮に入った瞬間その不安はなくなりました。私の向かいの部屋には3年生の先輩がいたのですが、その先輩が荷解きをしている時に話しかけてくれたんです。「向かいの部屋の3年の○○です。これからよろしくお願いね。」と。私が入った寮は人数が多い寮だったので他にも先輩が沢山いたんですけど、声をかけてもらった時に「自ら話しかけてくれる優しい先輩がいるんだ、あぁ私はここでやっていける。」と感じました。その後も、同じ1年生の子が部屋に挨拶に来てくれたり、2年生の先輩が寮のルールを教えてくれたり、寮の人は優しい人ばかりでした。1年経った今は、すっかり寮にも慣れて寮にいるのが大好きになりました。第2の実家みたいな感じです。夜は基本食堂にいて、夏はアイス、冬は温かいものを飲み、「誰か食堂に来ないかな~」と思いながら、来たら相手が寝るか食堂の閉まる時間になるまで話しています。その時は寮母さんもいてテレビを見ていますが、たまに話を聞いていて一緒に話したりもします。冗談も言い合ったりするのでとても楽しい時間で、一日の癒しの時間の1つです。
北星は、全国から色々な子がやってきます。入学する前もした直後も、知らない人に囲まれるのは不安いっぱいという気持ちになると思います。でも逆にそれが良いと私は思いました。自分を知る人がいない、だからこそ素の自分を出せるんだと。実際、私は地元にいる時の中学3年間の学校生活に対して楽しいよりも苦しい気持ちの方が大きかったです。ちなみに、私が感じていた苦しさは「不登校生」というレッテルを貼られている気がして周りの目が凄く怖くて……そこからくる息苦しさでした。でも、北星に来て自分の挑戦したいことに挑戦して、出したかった自分を出して1年間生活してみて、学校が楽しい!好きだ!って思うことができました。息もしやすいです。
「第2の人生」という言葉をよく耳にしますが、それがこの北星で始められると思います。中学校では無のからっぽな時間を多くすごしていて、死にながら生きていたも同然だったので……(笑)なので、からっぽだった自分の学校生活を取り戻したい、やり直したい、と様々な想いを抱えている人は北星に来てみるといいかもしれません。もちろん、楽しいことばかりではなく、ムカつくこと、嫌なこと、悲しいこと、辛いこと、プチホームシックになることもあります。が、それもまたいい経験になると思います。他では出来ない経験が出来るからこそ、自分の人生の財産になると思います。
年齢や性別関係なく、北星(私)はあなたの入学を待っています!
2023年度 3年生
オオタカ女子寮坂上優佳