5人の弁士のみなさん、お疲れ様でした。
高崎 麻美
みなさん、こんにちは。7月だというのに風が冷たい余市町です。
本校では来週の水曜日と木曜日に夏季スポーツ大会があり、その後には期末テスト。それが終わったら遂にみんなが待ちに待っている夏休みですよー。今は多くの生徒が放課後にスポーツ大会の練習に励んでいます。みんな怪我のないように気をつけてね。
さて、タイトルにもある通り先週は2日間にわたって弁論大会が行われました。
毎年、1日目に課題の部、2日目に自由の部と行われます。課題の部には5人の弁士が、自由の部には7人の弁士が出場しました。
今年の課題は「まち」でした。街、待ち、まち、、。色んな解釈で「まち」と題して弁論してくれました。
生徒たちのいつもと違う表情をお届けします。
1人の生徒以外、初出場。きっとみんな緊張してただろうなぁ。人前で話すということだけでも緊張するのに、自身のエピソードを交えて話すなんて更に勇気がいることですね。5人の弁士のご紹介です。
課題の部、最優秀賞に選ばれたのは何と2年連続、3年A組の宮田直樹くんでした。
何度か放送局の朗読大会にも出場していたりと、人前で話すことにも慣れている宮田くん。堂々とした弁論で、さすがでした。
今回も原稿を載せていいよーと言ってくれたので、全文ご紹介したいと思います。
「まち」
だだっ広い大地。何もない牛の数の方が暮らしている人よりも多い。そんな場所で私は育ちました。しかし日本ではそうした場所は若者にはあまり望まれないので、みな中学卒業と同時に外に出ていってしまいます。こうして若い人のいない地域はさらに若い人が来ることもなく、だんだん盛り下がっていきます。一方その後、都会に行った若者はどうなったでしょうか?どこかの組織に従って、自分の生き方ができているのだろうか?
「ついて来られないやつが悪い」や「仕事は自分で覚えるものだ」と、このようなことを言われそれが社会での当たり前と思いながら生活をしていく。
大学にいく者は奨学金を借り、返すために大学にいかずバイトに明け暮れる日々。何のために大学にいったのか?
都会にはチャンスがあると多くの人が考え都会に人口が集中していきます。
チャンスを得た人はもちろんいますが、それと同じくらいさまざまな要因から動けなくなってしまった人もいるのではないでしょうか?
私は1年生の時から「ワイナリープロジェクト」というモノに参加してきました。特にこれといった理由はありませんが、強いて言うなら休みの日があまりにも暇だったからです。そこで声をかけてもらって参加したのがこの「ワイナリープロジェクト」でした。
初めて行った場所は平川ワイナリーです。
そこで作業をしながら平川さんから聞いた話に私は驚きました。農業系の大学卒業後フランス語をまったく知らないまま、フランスに行き何年も放浪していたそうです。ときには、泊まるところもなく外で寝ていたりと、かなり苦労をしていたが、ひょんなことから有名なワイナリーにまさに拾ってもらったそうです。
そこでは生活と生産が密接につながっていて、常に良い品質のワインを作るのに研究をしていたそうです。そしてワインは付加価値をつけることで、世界中を相手に売れるものだと気づかされたそうです。
平川さんは、2014年に北海道余市町沢町で株式会社平川ファームを、2015年に株式会社平川ワイナリーを設立し、今ではJALの国際線ファーストクラスにワインを提供している人です。
その他にも速読というものに参加してきました。
その速読の先生の考えは、「進学やテストのために勉強する時間を速読を使って早く終わらせ、余った時間で本当に自分がしたいことをしたほうが楽しいでしょ」という考えを持っています。
このように、地元にいたころなら間違いなく参加していなかったものに参加してみると自分の視野の狭さにきづかされました。
例えばそれは、より良い大学に行き、より良い仕事に就く。その為には、テストでよい点数を取り成績を上げる。
といった枠に当てはまろうとする固定概念を私は持っていました。きっと今聞いている皆さんもこれと似た固定概念をもっていると思います。当然これを否定しているわけではありませんし、この生き方のほうがいいじゃないかと思います。
ただもう一方で気づいてみたら身近に自分の生き方をしている人がいるではないですか。都会とは真逆の場所でこんなにも凄いことをしている人が身近にたくさんいる。
つまり、私たちの身近なところには「沢山のチャンスが転がっている」ということに気づかされたのです。
皆さんはどうですか?自分の身近に、周りにあるものに目を向けてみる
チャンスは沢山ありますが向けてみたことがありますか?私はこの余市に来るまで周りを気にしたことがありませんでした。正直もったいないと思っています。
でも、そこであの時こうしていたらと考えるのはそれこそもったいない。過ぎてしまったことに周りを見る時間を取られるのではなく、だからこそ周りを見てチャンスをつかもうと行動するべきだと思うのです。今まであった見えない固定概念という鎖に縛られる必要はないのではないでしょうか。
そうしたことから私は、「ワイナリープロジェクト」だけではなく、ボランティア活動や放送の大会、又この弁論などにも参加することで身近にあるものから何かを見つけようとしています。
そこでわたしは大きな波を待つのではなく自らが進んでいくべきだと考えます。
新たな余市という「まち」で自分から積極的に様々な活動に参加してきた宮田くん。
地元の「まち」に居たら気がつかなったことや、関わらなかったであろう分野に携わることが出来て余市で少しでもいい経験が出来たかな。そうやって思っていてくれていたら、私たちとしても嬉しいです。
せっかく何かの縁でみんな余市にいるので、「田舎だから」とか「どうせつまらないし」と決めつけるのではなく、少しずつ色んなことに挑戦したり参加してみるのもいいかもしれませんね。
宮田くんは全道大会に出場します。それまでにまた原稿の加筆修正と練習が待っていますね。まだ時間があるので、頑張ってくださいね〜。
他の弁士の皆さんもお疲れ様でした。
この弁論の為に自分と向き合い、心の中で思っていることを言葉にするのは難しかったかもしれませんが、よくやりきりましたね。勇気を出してこの弁論に出場したということを自信にしてくださいね。