「進路指導」は「自分探し」の糸口を示すものと考えています。

私たちは、北星余市での３年間の学校生活を通じて人として育つことが、何よりの進路指導だと考えています。

もちろん、高校卒業後の進学先や就職先を確保するよう目指すことは大切なことです。けれど、人としての育ちがなければ、築き上げたものがもろくも崩れてしまうことがあります。逆に、人としての育ちがあれば、進学先や就職先はもちろん、しっかりとした人生を切り開いていくことができ、長い人生において地に足をつけた生き方をしていけると考えます。

個と個の関係において起こる出来事。クラスや部活や寮下宿や気の合う仲間との間で起こる出来事。そうした個人間や集団において、出来事や悩みや考え方を共有したり、ときに起こるトラブルなどの困難を乗り越えたり、達成感を得たりして行く中で、人は大きく成長していきます。そうして創り上げる人間関係の中で生きる力を得て、物事をどう捉え考えて生きていくかが人生の土台となっていく。

やりたい仕事は何か、身につけるべき専門的知識は何か、そうしたことは広く様々な人とふれあい、色々な世界を見て、導き出されて行くものと考えています。10代の後半からやりたいことを定めてそこに邁進して行くことのできる人は、自分に合う経験や出会いにたまたま巡り合うことができたという幸運の持ち主です。

多くの大人が「やりたいこと」を子供に見つけさせようとします。それは自身の後悔や現状に対する不満からくるものなのかもしれません。しかし「やりたいこと」は、ほとんどの場合、人間性が豊かになり、その豊かさを以って多くの人に出会い、様々な経験をする中でしか見つからないものです。例えば、チャンスをものにする機会でも、物を買う機会でも、そうです。様々なものを見比べ、自分の経験や現状に照らし合わせ、試行錯誤をして決めます。進路もまたそうだと思います。いろんな世界に触れ、経験し、人と出会い、自分の心にハマるものは何かを探すことが、机の上で知識をつけることと同じか、もしくはそれ以上に重要なことと考えています。

だから、北星余市では3年間の学校生活全体が進路指導だと考えています。

日々繰り返される授業の中で、必要な学力や知識を身につけること。われわれ教員だけじゃなく、寮の管理人さんや地域の方達、Tsunagaru Projectなどでつながりをもたせていただいた方達、様々な大人から感じること。あるいは、3年間で出会う、地域も年齢も経験も様々な同年代の仲間から得ること。それらが、クラス、部活、寮下宿、学校外の活動など様々な場面で繰り広げられる中で得られていきます。そうした育ちを元に、北星余市を卒業してからも人間社会の中で自らを生きて行く力を育むことを進路指導の軸に据えています。

これらが、人口減少やAIの進出など、人類が今までに経験したことのないような時代、これから速度を上げて変化して行く社会の中で活かされて行くと信じています。

そうしたことの結果として、具体的な進路決めがなされていきます。

過去5年間の卒業生の進学先（四年制大学）