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理念や指導方針

校長挨拶

北星学園余市高等学校の開校60周年記念式典にご参加の皆様、ようこそお越しくださいました。そして、記念講演の依頼を快くお引き受けくださった 植松電機社長・植松努様、この後の講演楽しみにしております。よろしくお願いいたします。 

本校は、1965年余市町の要請を受け、北星学園の7つ目の兄弟校として開校しました。開校当初から、その時代時代の社会問題と深く関わる子どもたちと共にこの地で教育を営んできました。開校当時は、公立高校に合格できなかった子どもたちが。1980年代後半は日本全国から中途退学をした子どもたちの転校先として多くの生徒が入学してきました。この数年は、不登校経験や勉強に自信がないという子どもたちも含め、十人十色、本当にいろんなタイプの集まる学校になっています。 

そして、学校全体がキリスト教の大切にしている「弱さや未熟な部分も含めたあなたをそのまま愛する」という環境なので、肯定的な雰囲気の中で安心感を得ます。しばらくすると徐々に服装や持ち物、髪などの見えるところはもちろん、友達同士の関わり方やその時々のことばに、その人が現れていきます。人と違うことを恐れていた子どもは、「違っていい」と理解し、逆に人と違うことで自分の居場所を作っていた子は、無理をしなくても居場所が見つけられることを理解します。 

その変化というか成長というか、いい意味でのリセットができると、子どもたちの動き方がみるみる面白くなっていきます。 

学校制度ができた明治以降、学校の目的は学齢期の子供を一堂に集め、知識や教養、技術を一斉に教えることで、効率よく国に役立つ人材を育成することでした。ですから、子供同士の中で競争させることはその目的に大きく作用する力になりました。また、高校や大学への進学率が上がっていった時期は、偏差値が重視されます。加えて管理教育が厳しくなり、子ども同士の「同調圧力」が強くなる中、人との違いが指摘の対象となっていきました。子ども達がそんな環境に違和感を感じてしまうことは決しておかしな事ではありません。今はその反省からなのか、随分と個々の特性に対して柔軟に対応するようにという通達も出されています。 

しかし、子ども達が求めているのは、特別扱いや順位付けで評価されるような環境ではなく、「みんな」と安心して生活できる空間なのだと思います。競争や進学も評価ポイントの一つでしかありません。たくさんの物差しがあると、見る側も見られる側ももっと余裕が持て、関わるきっかけも範囲も増えるでしょう。いろんな繋がりの中で安心できる時間を過ごすことができれば、他人にも自分にも興味や関心が増えてきます。人は社会的な生き物ですから、周りとつながりを求めその関係性の中で生きたいと願うことは自然な感情です。 

この学校は、思春期にそんな感情に蓋をしたり、つながりに苦手意識を持ってしまった子どもたち。そしてもっと青春したいと望んだ子どもたちにとって、必要な場所であり続けたいと考えます。 

北星余市高校も完璧ではありません。しかし、開校以来途切れることのない「集団の中でこそ人は成長する」という理念を大切にし、「民主的な集団づくり」の歴史を紡いできました。クラスでの取り組みや生徒会活動に向かうための議論に時間はかかりますが、その分なぜそれが必要なのか理解して取り組むことができます。ですから、特に行事に向かう子ども達の姿勢はかなり積極的で、いい意味で純粋で子供っぽく、またそんな時間をしっかりと味わうように過ごしています。そして、挑戦と失敗を繰り返しながら、より良い関係づくりを学び、成長していきます。 

そのような高校生活を送った後、社会に出るにあたり福祉関係や教員を目指す生徒も多くいます。入学前には自尊心が低かったり対人関係を得意としていなかった生徒たちも、いろんなタイプの大人や友人と関わり、学び、議論を重ねながら視野を広げていきます。社会の様々な場所で自らの存在を活かしている卒業生の姿は、後に続く後輩に希望を与えています。 

 私たち北星学園余市高等学校は、これまでも、そしてこれからも、その時代の若者が抱える課題に真摯に向き合い、学校生活を通して社会に巣立つため自分と隣人を愛せる人として成長する場と機会を生徒たちと共に守っていきたいと考えます。 

結びとなりますが、卒業生、P T AO B、同窓会、北星学園と本校の歴代の教職員の皆様。本校の60年の歴史を紡いでくださったことに感謝申し上げます。そして、現在の在校生とP T Aの皆様。この歴史を次につなぐ大切な役割を一緒に担っていきましょう。また、本校を応援してくださる寮下宿の皆様、地域の皆様。皆様の存在無くしては今日を迎えることができませんでした。感謝を申し上げ、引き続き生徒の成長を見守り、支えてください。 

全国でも稀な実践を重ねる本校に対して、今後も皆様のご理解とご協力をお願いいたします。 

以上を持ちまして、校長の挨拶といたします。 

2024年10月5日 北星学園余市高等学校 校長 今堀浩 

 

 

 

 

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