理念や指導方針
<文:校長・安河内敏>
明石大橋のふもと、一面に瀬戸内の景色のひろがる舞子ビラはとても大きく、立派なホテルでした。北星余市高校からは私を含め3名の教員の参加でした。舞子の駅についた私たちは、思ったより涼しい!ことにほっと胸をなでおろしつつ、さぁ久しぶりに多く事を外で学んで来ようと会場入りしました。
なんとそこで昨年本校に入学したものの、悩みがあって進路変更したA君とお母さんにばったりと出くわしました。その後ニュージーランドへ留学して約一年、A君も日本に帰って来たばかりで、このつどいに参加となったようです。とても元気になって、力強さも備わった感じを受け、再会を喜びました。愛知出身の彼は本校に来る前は不登校で、このつどいにも参加していたということで、このつどいの縁の不思議さをいつも思います。
(2日間のつどいが終わっての帰路もまた同じ電車に乗り合わせて神戸までいっしょしました。9月の学園祭に遊びに来てくれるそうです)
私は第5分科会の「学校とのかかわり・学校づくり」の「学校づくり」というところにひかれて参加しました。現在の学校のシステムが相変わらず大量生産・大量消費型の社会に合わせたものであることから、きっと学校を出たさきにそのシステムで得たものが役に立たない事態が起こるだろうと危惧してのことでした。
参加してみるとその「学校システム」に合わない状態が不登校ということもできるのではないか?とだんだん考えるようになりました。であれば、身も蓋もないかもしれませんが、今の学校のシステムに戻ることを考えるよりは、これからの社会の形に対応できる仕組みを作ったほうがよいのではないか?と考えたりしました。
ここで問題なのは、これからの社会の形とは具体的にどのようになるのかが大人でもなかなか予測できないことです。目の前の事(情報)に近視眼的になっていませんか?
予測できないことに対応するためには予測できなかったけど一つ一つ解決してきたという経験値が必要なのだと思います。「こうあるべきだ」という教えは予測の中にむりやり落とし込んでいく作業でもあります。それでは対応できないことがたくさん出てくることでしょう。
今わかっていることから推測する力も必要でしょう。
非正規雇用40%、毎年の大卒者の3年以内の離職率30%、奨学金破産、10数年後には今ある職業の60%は違うものになっているらしい、人工知能の発達や自動化で仕事はなくなっていく?同時に人口減で就労人口も減る?これはバランスする?こうしたデータや知見からどのような世の中になるのか予測できるでしょうか?しかし現実は迫ってきています。
すでに問題は学校という装置で考えていく範疇を越えているのかもしれません。つどい実行委員長の船寄先生がおっしゃっていましたが、日本の学校の歴史は140年ほどだということなので、いまの学校という装置は万能ではないわけで、むしろ変化していかなくてはならないのだという事を考えさせられました。
ただ、なかなか変化の兆しは見当たらず、むしろ多様な評価ではなく、学業成績などの評価をより増やしていく方向に進もうとしているように見え、危惧しています。
1日目の夜には北海道のグループでもたくさん話に花が咲き、バイキング形式に強い事も見えました。600人を超える参加者のそれぞれの方が普段の不安な状況から解き放たれゆっくりと語り合えるこの場は登校拒否・不登校という問題だけではなく市民としてこの社会で協働していくつながりとして大切だと思いながら、北海道へと帰ってきました。
北星学園余市高等学校
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