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教員はいま

<文:校長・安河内敏>

※下記は2012年度第48回入学式のあいさつです

本日は、北星学園余市高等学校・第48回入学式に、参加されるみなさんへお祝いを申し上げます。ご入学おめでとうございます。

今年度は、1年生63名・2年生12名、合わせて75名の入学生をここに迎えております。「北星余市」での出発を祝うために日本各地から、お集まり頂きましたことに、重ねて感謝申し上げます。

さて、三寒四温と呼ばれるこの季節、移ろいやすい天候の中、つい3日ほど前は、台風のような風が吹き荒れ、この低気圧に入学式まで居座られたらどうしようとハラハラしていました。
ですから今日こうして皆さんとお会いできたことをひときわ嬉しく思うのです。

しかしながらみなさんは日本中からさまざまなめぐりあわせでこの学校に集まったわけですから、まわりは知らない人だらけです。また、初めての下宿生活だという人も多いでしょう。だから入学の喜びよりも不安の方が大きいのかもしれません。

ですがこれから皆さんが始める学校生活は他のところではなかなか経験できないことがいっぱい詰まったものとなるはずです。その経験は3年後、あるいは2年後に社会に出ていくみなさんにきっと役立つものとなるでしょう。

みなさんも感じている事だと思いますが、今の社会はとても厳しいと言われています。経済が落ち込み、就活という言葉が盛んにでるほどに就職がむつかしい。安定した生活が保障されずに、先行きの不安からなかなか解放されない。そうした中ひとびとは自分の事を考えるのに精いっぱいで、だれかとつながっていたいと思いながらも、バラバラな状況のなかでなにか成果を出さなければ認めてもらえない競争に駆り立てられています。さらに成果を出したところで、状況が悪くなればあっさり切られてしまう、そんなことすらおこりはじめています。

だれもがこんな社会ではまずいと思いながら、この20年で政権も変わり、15人も総理大臣が変わってもよくなったとはいいがたいです。つまり誰かが変えてくれるという事ではもういき詰まっているのです。わたしたち一人一人が価値観や考えを変えていくしかありません。成功とはなにか。良い暮らしとはどのようなものか。いままで向かっていた方向を変えない限り現状は良くならないのはたしかです。

そのようななかで先の東日本大震災がありました。この一年確かにわかったことは、様々な事は多くの人の協力がないとなしえないという事ではなかったでしょうか。協力するためには多くの人が同じ目線にたって、痛みも喜びも共有することが大切なのです。そして長く継続することも大切です。

ついこのあいだ皆さんの先輩である45期生が卒業していきました。その上にもたくさんの先輩たちが社会に羽ばたいています。最近フェイスブックのような便利なネットワークがあるので、かれらが卒業後も全国で繋がっていることがわかりました。みなさんもこれからさまざまな行事でOBとなった先輩たちが学校に遊びに来るのを目にすると思います。それはとても珍しい事だと思います。生徒に限らずPTAの父母の方たちも卒業後OBになってもさまざまな行事に参加してくださいます。

どうしてそのようなつながりが続くのかは、皆さん自身がこれからの学校生活で経験することと大きく関係します。それは前にも言いましたが、辛い時も楽しい時も同じ仲間として一緒に学校生活を送ることと、年齢や出身地、育った環境、考え方、生活の仕方などまったく自分と違う人と接し、排除するのではなく多くをその人から学ぶ環境があることなのです。

内田樹さんという思想家がこれからの混乱する世界にあっては、一人の力などたかがしれていて、仲間をつくって乗り越えていく力がとても必要であり、また人は他者のために動くときに最大の能力を発揮する。ということを述べています。みなさんが卒業するころにはきっとこの力がかなりついていることでしょう。またそのように願ってやみません。

本校はキリスト教教育を柱としています。聖書にあなた方はキリストの体であり、また一人一人はその部分です。という御言葉があります。まさに人々がバラバラにされそうな今、皆さんが得たことを持ち寄って社会をつくるひととなってほしいと思います。

そのために私たち教職員は保護者の方や下宿の管理人さんと手を携えながら、とことんみなさんとおつきあいしたいと思っています。いっしょにいろいろなことをやっていきましょう。

これをもちまして歓迎のあいさつとさせていただきます。本日はご入学おめでとうございます。

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