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実生活について

卒業生からのメッセージ

転落の速度は早かった

幼少期から真面目に育ってきた俺は、挫折感を感じたことがなかった。どちらかと言うと、ヤンチャしてる連中を冷やかな目で見るような男だ。しかし、中学生になった時、全てを変えてしまった。勉強にもついていけず、部活でも活躍することができない。既に自分がどのように生きていけば良いか分からなくなっていた。日々荒んでいく心を、いつも誰かの責任にすり替えながら、俺は素行不良への道を選んだ。

転落の速度は早く、気がつけば逮捕され収監されていた。人生が終わったと感じた。一般社会で生きている人たちが、違う人種に見えていた。そんな中、中学3年の冬、裁判の印象を良くするために北星学園余市高等学校に入学することを決めた。

本当に本当にかけがえのない3年間だった

初めての寮生活。掃除も洗濯もほとんどしたことがなかった俺は如何に自分が甘えて生きてきたかに、ようやく気がつくことができた。仲間たちとはぶつかり合いながらも確かな友情を築いていった。先輩たちは、本気で俺のことを思って叱ってくれた。初めて、心から慕ってくれる後輩に出会えた。そして何よりも、心で向き合ってくれる先生たちに出会えた。そんな沢山の恵みの中で、荒み歪んでいた心が癒されていった。

卒業後、横浜の大学でこれまでの遅れを取り戻していくために本気で勉強した。でも、何度も大きな壁にぶち当たり、途方にくれた日もあった。やっぱり一度堕ちた人間は這い上がれないのだと諦めかけていた。

しかし、そんな時支えてくれたのは、北星余市で出会った、かけがえのない大切な仲間の存在だ。電話で声が聞けるだけで、前に進む力をもらえた。一緒に飲みにいき、思い出話になると、北星余市で過ごしたあらゆる経験こそが、自分の糧となっていることに気づかされた。 そして、改めて思う。本当に本当にかけがえのない3年間だったと。

人間関係の希薄さが目立ち、崩壊した家庭が増えている中、子どもたちはより一層愛を求めている時代であると思う。私もかつてそんな一人だった。

北星余市では、受け入れられているという安心感と関係性で人は変わっていけるということを、肌で感じることができる。

現在社会人として、日々奮闘できているのは、あの場所で本来の自分を取り戻せた結果だと思っている。

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