実生活について
実生活について
正直、中学時代ともなると記憶も薄ら薄らだが、ただひとつだけ言えるのは、親に対して心底、迷惑をかけていたのだと思う。
中学時代の家族団欒の場を思い出すと、笑顔で話していた記憶はない。でもそんな中でもいつも家族は私のことを思っていてくれていたんだ、という記憶が今思い返すとはっきりある。そんな家族の思いがあったからこそ私は北星余市に入学出来たとのだと思う。
入学してからと言うもの、相変わらず親には迷惑をかけていた。多くの謹慎を繰り返し、そのつど家族にため息をつかせていた。でも必ず私が北海道に北星余市に戻る際には、笑顔で「頑張れよ!!」と送り出してくれた。そんな親を見ている内に家族の優しさを少しずつ実感していった記憶がある。
学校に戻れば多くの仲間が、先生が、寮のおじちゃんおばちゃんが居場所を作ってくれた。いつしか気付いたら北星余市という空間が大好きになっていた。北星余市が好きになってからの時間は早く、気付いた時には卒業という北星余市最後の日であった。北星余市での三年間得ることができたものと言えば、人の優しさ。家族、仲間、自分を思ってくれる人間の大切さ。そんな人として当たり前のことだった。
北星余市を卒業し大学に進学してみると、余市という孤立した空間しか知らない私は、多くの事に挫折し投げ出していた。でもそんな時いつも必ず救ってくれたのが、北星余市の仲間であった。そして遠方から支えてくれた、家族であった。人よりも多く大学生活を送ってしまったが、北星余市で得られた大切なもの再度認識できた意味のある時間でもあった。私がなんとか大学を卒業できたのも、そんな家族の優しさ、北星余市で出会えた仲間のおかげだと思う。
今現在は、某大手企業に就職し営業マンとして充実した日々を送っている。それぞれ遠方散ってしまった北星余市の仲間とは半年に一度集まり、仕事の愚痴、将来の話、北星時代の思い出話を朝まで酒を飲みながら話している。
家族とは毎日お酒を飲みながら家族団欒の場を楽しく過ごし、月に一度は共通の趣味であるゴルフにでかけたりもする。父親と昔の話をすると、今でも毎回、「あの時は俺たちが悪かった。俺たちが何もしてやれなかった。」と話す。そのたびに北星余市に行かなければ両親とはこんな関係になれなかったと実感している。北星余市に行けて本当の仲間に出会え、親の、家族の本当の優しさを知ることができたと思っている。
北星学園余市高等学校
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