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生徒の声

2020.12.3

僕の見た座り込みはTVの中

2020年度校内弁論大会 最優秀賞 水上 建2020年度3年生

3Aには「イベントの準備は絶対にみんなでやる」という本間ルールがある。

強歩前、やる気のない一人が作業に参加せずに帰った。期待もせず、声をかけなかった。締め切り直前になり、本間ちゃんの「下宿行って呼んできー」。嫌われるかもしれないことを、なぜ私が…。下宿に行くと、恐ろしい形相で「マジでめんどくさい、本間涼子のクラス」。4時に学校に来るという約束を取り付け、私は逃げ帰った。

しかし彼は約束より早く来て、無邪気に「こういうところ気になるんだよね」と、塗りが甘いところを楽しそうに塗り始めた。

しかし学祭準備中の合唱練習もサボられた。「逆に何でそんなにモチべあるの?」と、聞かれ、それに答えるために電話をすると、彼は学校に戻ってきて、私の気持ちに向き合ってくれた。そして、外が真っ暗になった会議室で合唱練習をした。すごく楽しかった。

もっと早く、「やらん奴」、「怖い」とかいう思い込み抜きに向き合っていれば、彼から逃げている後ろめたさを覚えずに、自分も楽しくできたのに、と、思った。

そしてなにより、身近にこんなに面白く、クラスを楽しくできる奴らがいるという事を、もっと早く知っておきたかった。

今まで偏見を持っていることでも、知る事で、自分の世界が広がったり、楽しみや喜びが増えたり、深まったりする。

そして一方、「知ること」で、さらに違和感や疑問を感じることもある。

私がこの春にしてきた経験はまさにそれだ。

 

日本の米軍基地の7割がある沖縄に、行ってきた。

辺野古の基地建設を、座込みで止めようとしている現場。

 

私は、基地向かいの歩道から、埋め立て反対のプラカードを持って、眺めていた。抗議者たちは「違法工事今すぐやめろ」、「子どもの未来に基地はいらない」と訴え、しばらくすると機動隊が出て来て、抗議者を二人がかりで一人ずつ、運んでいった。全員が運ばれて、結局トラックは基地の中に入っていった。それが1日に3回。国家権力が国民を排除していくこの風景は、本来、怖く、異様な光景である。しかし、どこか形式的に見えてしまった。

 

機動隊による、過激でもっとひどいシーンを、TVで見たことがあったからかも、しれない。

道の向こうから見ていたことで、期待していたよりも感情が揺さぶられなかったのかも、しれない。私も座り込みをしていれば違ったのかなぁ…。

 

座り込みが今の形に落ち着いたのは、16年も戦いが続いてしまったからだった。抗議者のケガ、逮捕などが続き、ただの住民が、長引くこの問題に抗議し続けるための、苦肉の策なのだった。

 

辺野古では16年もの間、これが日常なのだ。私の地元、神奈川県座間にも米軍基地があったこと、戦闘機による騒音で授業が中断されていたことを、思い出した。私はこれに「慣れ」てしまっていたが、その「慣れ」の中にあってさえ、違和感を持ち続け、行動し続けている、その思いの強さに触れたような気がした。

基地って何でしょうか?

ベトナム戦争時には沖縄の基地から爆撃機が飛び、沖縄は「悪魔の島」と恐れられた。イラク戦争では海兵隊が派遣された。基地とは人を殺すため、沢山の兵士と兵器を送り出す場所なのだ。日本が戦争に加担している、ということだ。

 

沖縄には7割の米軍基地。実は終戦5年後は本土に87%、沖縄はたった13%。大きな反対運動によって本土の基地は大幅に減ったが、沖縄の基地は増設され、今では7割を超える。米国の搾取だけでなく、日本本土から押し付けられているのである。

 

抑止論を持ち出し、基地反対は理想論であり、実用的でないという人もいるが、この理想論は実用性があるということはとっくに証明されている。中米コスタリカに学んでほしい。

 

そしてむしろ、基地によって沖縄は様々なことに苦しめられているのだ。

騒音問題、お金のバラマキによる住民の分断だけはない。沖縄が日本に復帰してからの約50年の間に、米軍が起こした事件は6052件。

凶悪事件は581件。

 

みんなの記憶にも残っているだろうか。当時20歳の女性への強姦致死、殺人、死体遺棄という事件が起きた。その2016年に、性犯罪で除隊となった沖縄の海兵隊員27人のうち、21人が子どもを標的にしていた。

そして被害者の多くが「治外法権」の名の下に泣き寝入りしている。さらに事件化されていない被害の多さ…。

 

私は問いたい。沖縄県民にとっての脅威はどこにあるのか?

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