それぞれ色んな想いを持って始まったこの北星余市での生活が、もう終わろうとしている。

「北星余市は楽でいいよね」って、地元の友達によく言われる。でも、この3年間、決して楽なものではなかったし、きっとみんなも、それぞれの苦労があったと思う。むしろ、普通の高校に通う人よりも、周りに理解されにくい苦労を抱えている仲間が多いんじゃないかと思う。

入学式の日、ワクワク、不安、さみしさ――みんな、それぞれいろんな思いを持ってここに来たと思う。最初は、とにかくいろんな人と話して、名前を覚えるのに必死だった。

1研、スポ大、学祭と、行事を重ねるうちに、クラスの仲間がどんな人なのか少しずつわかってきた。

1年生の学祭では、北島豚の焼きそばを売った。シフトを作ったのに、次々お客さんが並んで、交代できず、ずっと焼き続けてくれた人がいたのを覚えてる。そんなこともありながら、最初はバラバラだったクラスも、学祭の頃には団結していたと思う。

58期は早くから合同委員会を作って、クラス関係なく、学年として動く場面が多かった。行事の後は打ち上げと称して、調理室を沢山使った。毎回違うメニューでお腹いっぱい食べた。３年生のころはもう作るメニューが思い浮かばなくなったほどだった。

この活動がその後の予餞会、修学旅行や生徒会、学校見学会などに活きていたと思う。

そして、あっという間に2年生。クラス替えがあって、新しい友達ができた。一年生の時はあまり話したことがなかった人とも話すようになって、今までできなかったことにチャレンジしたり、とにかく楽しもう！って思って毎日を過ごした。

A組はスポ大が強くて、B組は学祭の装飾がすごい。これは3年生になっても変わらなかった。結局、A組はスポ大総合4連覇、B組は学祭総合優勝。めっちゃ嬉しかったよね。

修学旅行は、前の年はコロナで大変だったから、まず元気に行けたことが何よりもよかった。沖縄は暑かった！でも、それ以上に楽しかった。友達と一緒に過ごす時間がどれだけ楽しい時間なのかを改めて感じた。

そして3年生。すべての行事に「最後の」がつく一年。進路も決めなきゃいけないし、多分忙しい一年になるんだろうなって思っていたし、ぶっちゃけ3年生になりたくなかった。でも、時間は気づいたら進んでいて、本当にあっという間だった。

そんな中で、自分は新しいチャレンジとして、生徒会長になった。最初は、会議にもついていけなくて、全校生徒のことを考えて行動することがどれだけ難しいことなのかを痛感した。でも、会議を通して一人一人のことを考えて、「どうすればみんなにとっていい学校になるのか？」を真剣に考えられるようになった。最初は、自分の考えをまとめたり、自分の仕事をすることで精一杯だったけど、だんだん全体を見れるようになってからは、全体のバランスを取るのが、自分の役割なんだと理解することができた。

同じ時期に、サッカー部の部長にもなった。でも、生徒会の仕事が忙しくて、正直、ほとんど部活には行けなかった。それでも、部長という立場で、「サッカー部のためにできることは何か？」を考え続けた。プレーでみんなを引っ張ることはできなかったけど、部活をもっといい環境でできるように、先生方と話し合ったり、部員の意見を聞いたり、できることを探した。

生徒会を経験して、「自分が動くことで、誰かが少しでも過ごしやすくなるなら、それが意味のあることなんだ」と気づいた。サッカー部でも同じように、ただ部長だから何かしなきゃいけないわけじゃなくて、周りのために考えて行動することが大切なんだと気付けた。

みんなはそれぞれのいろんな過去があって北星に来たと思う。この学校に来たからこその、出会いと別れ、経験できたことがあった。自分にとって、北星は「ただの高校」じゃなくて、「自分を変えてくれた場所」だった。

一年生の頃から、朝起きるのが苦手で、学校に来るのが大変だった。でも、毎日電話で起こしてくれる友達がいて、そのおかげで単位を取れて進級できた。3年間、ずっと誰かに支えられて、ここまで来ることができた。

そんな風に、みんなもそれぞれ、誰かに支えられて、3年間を過ごしてきたと思う。北星には、先生も、友達も、寮の仲間も、いつも誰かがそばにいた。

だから、今日の卒業式が「別れの日」ではなく、「新しい一歩を踏み出す日」になればいいなと思う。これから、みんながどこに行っても、北星で過ごした日々が力になるはず。

最後に、先生方、寮の管理人さん、支えてくれた家族、そして何より、3年間一緒に過ごしたみんな、ありがとう。

２０２５年３月１日

58期生徒代表　打矢　北斗