北星余市を紹介、生き方を考えるウェブマガジン
2018年12月発行
星しんぶん
hoshiii
「何のために働く?」なんてちょっと厄介な質問。答えたくないかもしれないし、答えなんてないかもしれない。この本の一節に「おまえの宝物がある場所に、お前の心もある」というセリフがある。これは聖書に書かれているイエス・キリストの言葉 (マタイ6:19-21)で、自分が大切にしていること、いつも考えてしまうこと、たくさんの時間を費やしていること、そこに、自分の心があるのだ!ということ。僕たちは、どうやっても「自分の心」から逃れることはできない。心がなか ったら楽なのに、というくらい辛い体験をした人もいるかもしれない。心は、夢/身体/言葉/気分など色々な方法で語りかけてくる。心って、五感と脳=身体全部。つまり、自分自身のことだ。自分が自分に語りかけてくるなんてちょっと不思議だけど、「心の声」ってとっても大事だよね。何のために働いたっていい。それは自由だもの。でも、そこに<心=自分の宝>があったほうが面白い。あなたの心は在り処はどこですか?
『アルケミスト 〜夢を旅した少年〜』
パウロ・コエーリョ/山川紘矢+山川亜希子 訳
¥2,600
30代になって、気がついたことがある。それは、10年という時間の長さを実感したってこと。20代ではわからなかった。なんとなく10年の見通しができるようになり、10年単位で自分の人生を見通してみる。すると「、はて、いつまで働く?」と疑問が湧いてきた。星野道夫さん曰く「きっと、人はいつも、それぞれの光を捜し求める長い旅の途上なのだ」。彼は、周囲にだーれも人がいない広大なアラスカの大地に、光を探し求めた。その旅に終わりはないのかもしれない。
『長い旅の途上』
星野道夫/文春文庫
¥842
さて、僕たちは1日8時間くらいは労働のために費やします。労働ってさ、自分が生み出す価値を人や社会/世界に還元すること。そうやって、僕たちは、自分を社会/世界と結びつけている。経済的な価値ってのは、時代や国、状況によって大きく変わる。人間が作り出す価値は不思議と「移ろいゆく」ものばかり。だから、それは自分自身の価値と同列に考える必要はない。僕は、この本の中にこれからの時代に必要な価値が隠されている気がしている。
『NATURAL HISTORY 〜生きとし生けるもの〜』
M .B .ゴフスタイン作/谷川俊太郎訳
ジー・シー・プレス
¥1,620
高校を卒業して20年が経ち、ふと君に手紙を書きたくなりました。宛先は、高校生の僕。言いたいことはたくさんあります。今回は〈問いの立て方〉について書きます。君が、大人なのかこどもなのかもよくわからない中途半端な扱いを受けながらも、まだまだ、しっかりこどもだってことはよくわかっています。社会なんてものをこれぽっちもわかっちゃいないし、知ってる社会といえば、〈学校社会〉。君の場合、これがまた息苦しくて、今考えてもあんなのよくわからない不必要なことの方が多かった。もしかしたら、〈大人の社会〉ってのもそんなのばかりだったりするのかもしれませんけどね……。さて、「問い」っていうのは、答えを引き出すための方法です。つまり、問い方を間違えると、自分の手に入れたい答えにたどり着くことができないってことです。でも、残念なことに、高校生の君は、問いの立て方をそもそも間違っています。まずは、この本を読んでください。答えを引き出す力〈質問力〉は、これから生きる上で力になります。
『質問力』
斎藤孝/筑摩書房
¥1,296