北星余市を紹介、生き方を考えるウェブマガジン
2019年11月発行
星しんぶん
hoshiii
自分の周りの世界に退屈したことありませんか? 同じ景色、同じ毎日、同じ人たち、同じような会話、繰り返される日々。この物語の主人公ジュールは、みどりの世界で退屈してました。だから、旅にでることにしたのです。ジュールは自分の知らない世界へ足を踏み入れました。どんどん進んでいきます。赤の世界で元気になるときもあったし、黒の世界で怖くて不安になるときもありました。旅にでるといつもと違うことを感じますよね。そして、ジュールは、自分が知らなかった世界を通りぬけて、みどりの世界に戻ってきたのでした。みどりだけの世界に。ジュールは退屈の中に逆戻り? いや、そうじゃなかったんだ。旅はジュールを変えた。どう変わったかって? 旅から戻 ってくると自分の感覚が変わります。僕も同じ経験をしたことがあります。まあ、そのために旅に出るんですけどね。旅はいままで見えなかったものや感じなかったものに気がつくことができるようになるんです。
ガブリエル・バンサンの絵本を読んだことがありますか? 僕は彼女の作品が大好きなんです。この本の中の言葉を紹介しますね。旅の目的地について明快に教えてくれる言葉です。それは「生きたいところで生きる。いっしょにいたい人と生きる。したいことをする」です。それができる人はそう多くありません。そのためには努力が必要だし、自分をよく知り、そして人を愛することを学ばなければなりません。学生ってそこにたどり着くためにある大切な準備期間なのかもしれませんよ。
こぐまのくんちゃんは、渡り鳥たちが南へ旅立っていくのをみて、自分も遠くにいってみたくなりました。誰かが遠くへ旅立っていくと、自分の気持ちもどこか遠くへ運ばれていきます。でも、現実にはどこにもいけない自分に気がつくとき、急に焦りを感じたりするものです。旅はどんなときも、いま自分の立っているところから始まります。だから、急に遠いところへ飛んでいかなくても、少しずつ遠くへ行けるようになればいい。立ち止まらずに少しずつ前へ前へ。必要なものがあれば取りに戻ればいいさ。くんちゃんみたいにね。
この本を知ってますか?主人公は、あなたもよく知っているひとりの青年です。腕のいい木工職人で、独創的な考え方をもっていて、自分ってのがしっかりある。それでいて意固地じゃなくて、ついつい一緒にいたくなっちゃうような魅力をもっている人。さあ、誰でしょう? 答えはイエス・キリストです。もし隣にヨシュア(=イエス)がいたら、この世界をどう見るだろうか、あのことに対してどういう意見をもつだろうか、っていうことを考えさせてくれる一冊です。この本はフィクションですけど、イエスは実在した人物ですから、彼がどんな人だったかっていうことに僕は興味があります。だって、これほど有名な30代の青年って少ないですよ。そのイエスに会った人たちが、彼についての証言をしているのが『新約聖書』です。北星余市の生徒たちは手に取ったことがあるはず?!宗教って人を不自由にしてしまうことがあります。本来は人を解放するものなのにね。自由でいることは、不自由よりも難しいことなのかもしれません。誰かのルールで自分を縛るほうが楽チンなのかな。旅は、いまある現実から少し離れて、そういうことを思い出させてくれる良い機会です。