北星余市を紹介、生き方を考えるウェブマガジン
卒業生/39期
松本遼
RYO MATSUMOTO
ある日、友達から一通のメールが来ていた。この星しんぶんの原稿依頼。テーマは「大人について」。その友達とは14年前の高校卒業後も繋がっている仲間で、つい最近結婚し、僕も北海道まで会いにいってきた。「大人かぁー、僕でも大丈夫かな?」って思いながらこの文章を書いています。
僕は35歳で岐阜の山の中に住み、30人ぐらいの人たちとハムやソーセージを和気あいあいとつくる仕事をしています。4年前に結婚し妻と二人暮らし。休日には趣味の音楽や木工などを存分に楽しんでます。 大人になると、字は自然に綺麗に書けると思っていたが、全く綺麗になる兆しは無く、高速道路のJCTをジェットと読むものだと勘違いしていたり、波浪警報をHello警報だと言い張っていたのも最近の出来事だ。正直、僕は自分の事を大人と思ったことはなく、こどもとも思っていない。そのカテゴリー分けは自分には適用できないのかもしれない。
大人だって間違えるし、泣きたい夜はある。新しい事をする時は怖くなったり、緊張したりする。それはこどもも同じで、ドキッとする正論を言ったり、難しい顔して悩んでたり、敏感に空気を読んでいたりする。
でも僕の中に大人と呼べる存在がなかった訳ではなく、親や地元のおじさんやおばさん、学校の先生などたくさんの大人に見守られて生きてきたし、今でも様々な大人たちにお世話になってる。そして嬉しい事に、僕のことを大人と思い、慕ってくれたり、相談やアドバイスを求めてくる若い人たちもいる。大人とは「自分は大人だ」と宣言するものではなく、他者がラベリングするものなのかもしれない。もしあなたが僕の事を大人だと言うなら、大人だって夢を追いかけたり、喜びで眠れない夜や不安に襲われて震える時があって、人に迷惑をかけて、人の迷惑ももらい、生かし生かされながら、進んでるよとあなたに言おう。ありがとう、ごめんなさい、よろしくお願いします、としっかり言える人に僕もあなたもなれたら、僕たちの世界は豊かな方向に広がっていけると思っています。
文:松本遼
松本遼 | RYO MATSUMOTO
北星余市高校の39期。現在は食肉加工組合GOBARに勤めるかたわら、mountain mountainsというバンドを率いて各地を回っている。