ってね、昔っから言われてきたんだ。僕の上の世代、全共闘世代っとか言われてる世代。今は団塊の世代とかっていわれてる人たちだけど、30歳以上の大人は信用するなって言ってたの。自分たちもすぐに30歳になるだろうにどうするのよ？ って心配してたら、上手い具合に30歳になったあたりで、ちゃんと信用してはいけない大人に育っていったね（笑） 。で、これはどういうことかとずっと疑問だった。何か魔法でもかかるようにみんな同じ顔をした信用できなさそうな大人に変貌しちゃうのだから。これは国籍の違い、出自の違い、障がいのあるなし、見た目などへの差別偏見についても、子どもの頃になかったものでも大人になると生まれてくるものらしい。これはどういうことなのかしら？ そういう僕もいい加減いい歳になって、もう最終コースだもんね。信用できない大人の代表みたいなものになってきた。そうすると、年食った分、見えてきたものがあるよ。大人になると、何物かに人質をとられちゃうってことがわかってきた。驚いたことに、各国の歴史を見ても、何物かに人質をとられ、信用できない輩や政府や国や企業や……が生まれていることに思い至った。なるほど、信用できない大人のその先に、大元の何物かがいた。そいつは見えないし、用意周到で、人間を思いのままに操ることに長けている。さて、僕が今見えてきた何物かを、ここで言葉にしたら陳腐さにもほどがあるって言われるかも。あ、宇宙人の話ではないです（笑） そいつは「システム」っていう、人間の作り出したもので、今や一人歩きしてしまっている厄介な何物かだと考えている……という、僕も信用できない「大人」の一人なのであまり大きなことは言えないけれど。でも、何につけても必ず原因があると思 っていて、生きづらさっていうものにもハッキリとした原因が必ずあると思ってるんだ。そいつを突き止めた時に、全ての答えがみえてくるように思ってる。

文：総合工作芸術家 だるま森