表紙の写真のうらばなし

2021.07.14 コラム

写真家

辻田美穂子

MIHOKO TSUJITA

改めましてこんにちは。北星余市のパンフレットやチラシ、星しんぶんの写真を撮っているカメラマンの 辻󠄀田美穂子です。授業やイベントの様子は自然体のスナップ写真ですが、表紙の写真は友達や先輩がいつもと違う雰囲気で佇んでいて、不思議に思っている人も多いと思います。そんな表紙の写真ができあがるまでの裏話を書いていこうと思います。

今月号の表紙は55期生徒会執行部。4度目となる生徒会の撮影ですが、この人数をどう一枚の写真に収めるか毎回とても悩みます。普段の集合写真より印象的な写真にしたい。集団だけれど、一人ひとりもじっくり見てほしい。身近な学校という場所を格好良く見せるにはどうしたらいいかなど、色々なことを考えながら撮っています。「北星余市」というと「あのヤンキーの……」という声が聞こえたりしますが、実際、ヤンキーは時代の変化もあって少ないし、「あの」とひとくくりにはできない多種多様な子が集まっています。そんな個性は、生徒会のユニフォームひとつをとってもそれぞれの着こなしから現れているし、指定の上靴さえもカスタマイズされ、足元にも光っています。それから表紙の写真の特徴である真顔。これは「笑顔はなるべく我慢して!」とお願いしています。表情を一旦横に置いてみると、意志の強さや優しさなど、「その人らしさ」が現れます。こうしてじっくり見てみると、一人ひとりからにじみ出るものがあって、たくさんの個性がひしめき合っていることに感動します。

全体としてのまとまりやパッと見た格好良さも大事なので、いつもは絶対しないようなポーズをしてもらいます。それぞれポージングを決めていくのですが、人間なので呼吸をするだけでも微妙に体勢がずれていきます。今回の写真で、真ん中の中野くんには「思っている以上に反って」とお願いしたので、この体勢を維持するのはかなり大変そうでした。逆に、ただ立っているように見える左端の中西くん。胸を張る、足を肩幅に開く。たったそれだけのことですが、この「大物感」を醸し出すのは意外と難しいのです。そんなこんなで11人分の微調整を繰り返して、やっと撮影に至ります。

たった一枚の写真ですが、いつも通りの「ハイ、チーズ」とは少し違った角度から、多種多様な人が集まる「いま」の北星余市が伝わればいいなと思っています。

文・写真:辻󠄀田美穂子

 

プロフィール

辻󠄀田美穂子 | Mihoko Tsujita

大阪から移住した写真家。北星余市でのたくさんの出会いを通して人生が変わったひとりです。今年の春に余市からせたなに引っ越して子育てしながら、時々赤ちゃん背負って撮影に出かけています。

 

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