あの時の自分でおれてるか

2022.03.03 コラム

独り言が増えた京都の大学生

西田テオ

TEO NISHIDA

手紙は書いたことももらったこともそんな無い。でも、卒アルとか手紙、担任の涼子からもらった最後のまんじ(クラス通信)に書いてあるメッセージを、卒業して1年経とうとしている今でもたまに見る。その時に思うんは「北星おった時はめっちゃ楽しかったな」とか「戻りたいな」とかもあるけど、「今もこの時のおれでいれてるんかな」とか「みんなも変わってなかったらええな」ってこと。たぶんそんなには変わってない。てか変われへんと思ってる(笑)。けど、どこか変わったような気もする。

北星おった時はもっと周り見えてたなとか、もっと ひら けてたなとかは思う。当時のおれやったらこうしてたな、って思うこともたまにある。例えばこの前、周りの子が、その場におらん子の陰口を言うてたんやけど、その子の行動じゃなくてその子自体を悪う言うてた。行動に対してならまだしも、その子自体を悪く言うてるのはおれは嫌やから、「おれはそう感じひんけどな」ぐらいにその時は言うた。けど北星の人間関係の中やったら、おれはそれでは収まってないはずや。その場で自分の気持ちとか考えを伝えようとしてたはずや。まぁ北星に3年間おった子でそんなことする子はおらんけどな。なんでそうしてもたんやろって考えたら、「まぁこんなもんなんかな」って謎の諦めがあったな。北星では諦めなかったなって思ったら、ちょっと変わってもたんかなって思ったりもする。

やっぱり周りの環境はでかい。しょうみ北星おった時のおれらは最強やった。みんな性格良ぎるし、正直やし、真っ直ぐな子が多かった。あんなええ集団はなかなかないし、これからもなかなか見つからへんと思ってる。でもそれで終わるんももったいなくない? 北星で学んだことやできるようになったこと、身についた考え方を、おれらが今おる環境に落とし込んで、今おる周りの人たちと成長していくんが大事なんちゃう? おれにとっての手紙やメッセージ、それは北星のことを再確認してもう1回エンジンをかけてくれるものやな。

文:西田テオ/写真:辻田美穂子

 

プロフィール

西田テオ | Teo Nishida

京都の大学1回生。賑やかな下宿に3年間おったのもあって、1人暮らし始めてから寂しくて独り言がばり増えた。ましてもともと声でかいってよう言われるしフランス語もたまに出る。たぶんお隣さんには2人以上おると思われとる。

 

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