北星余市を紹介、生き方を考えるウェブマガジン
写真家
辻田美穂子
MIHOKO TSUJITA
今回の表紙は落語研究会、通称「落研」のメンバーと顧問の平野校長先生です。今回は撮影中の雰囲気づくりについて書いてみたいと思います。
いかついカメラを前にすると大抵の人は緊張します。でもそれは当たり前。最初から自然ですてきな笑顔になれたら、それはもうプロです。緊張をほぐすためのひとつの方法として、周りにいる人に話し相手になってもらうということがあります。だけども話しっぱなしだと口元の表情から明らかに会話をしているのがわかってしまうし、話すことに集中しすぎると、本来の目的を忘れて真剣に話し込んでしまう人も……。そういうときはまたこちらから声をかけながら、表情が柔らかくなるタイミングを見計らい、自然に笑う瞬間を狙います。しかし、さすがの
今回は人数の関係で2グループに分かれ、最終的にどちらを採用するかは、この星しんぶんをつくっているデザイナーさんに決めてもらうことにしました。どちらかしか採用されないということで、ますます士気が上がります。「大喜利している設定は?」「この小道具使えるかな?」など、1組目はポーズの提案がどんどん出ます。後ろで見ている別グループからのツッコミも止まりません。撮影はカメラマンと被写体、二者間だけのセッションではありません。その場の雰囲気がいいと、みんなの気持ちに一体感が出るのか、すんなり最高の1枚が撮れたりするのです。一方、2組目はそんな様子を見て考えすぎてしまったのか、お題がなかなか決まらず苦戦。そこで「喜怒哀楽を表現してみて」と提案してみたものの、「哀」を担当することになったYくんはいつもニコニコしているので、悲しそうな表現をしていてもなぜか笑顔に見えます。そんな状況がおかしくて、周りが笑うと本人もつられてもっと笑顔に……。「喜」と「楽」のふたりは、お互い区別をつけるのが難しかったようですが、周りの愛ある野次のおかげで安定感のある表情がつくれていました。
さてさて、そんな紆余曲折を経て表紙に選ばれたのは果たして?!
文・写真:辻田美穂子
辻田美穂子 | Mihoko Tsujita
大阪から移住した写真家。北星余市でのたくさんの出会いを通して人生が変わったひとりです。今年の春に余市からせたなに引っ越して子育てしながら、時々赤ちゃんを背負って撮影に出かけています。