カメラマン美穂子
表紙写真の裏ばなし

2022.07.19 コラム

写真家

辻田美穂子

MIHOKO TSUJITA

星しんぶん表紙の写真には、1号からずっと一貫したテーマがあります。それは「多様性」と「関係性」。多種多様な人たちが同じ場所に集うことで、化学反応を起こしながら築き上げている関係性は、北星余市の魅力のひとつです。学校には先生と生徒だけではなく、寮母さんや地域の方々もいます。今月の表紙はその中のひとりである「ひねさん」と、そこに集う生徒たち。

ひねさんは週に一度、「総合講座」という選択授業のひとつを担当していますが、また別の日の放課後には「English Cafe」という、授業とは違った場づくりもしています。「英語」と聞くだけで、「苦手」とか「意識高い人が集まってそう」と思う人も多いのではないでしょうか? でもEnglish Cafeは、そんな気持ちをいったん横に置いて、とりあえずのぞきにいってみるのがおすすめです。何を話していいかわからない時は、「なぜニューヨークで坊主になったの?」と、ひねさんに聞いてみてください。毎回ケーキだけ食べにいくという人は、ひねさんの海外でのエピソードは15年分もあるので、ひとまず1話だけでも聞いてみてください。それらはきっと自分の限界や想像をぶっ壊してくれるはず。会話が苦手なら、机に置いてある雑誌や英字新聞をただ眺めるだけでも発見があるかもしれないし、いろんな学年の生徒が集まっているから、ふだん接点のない人と話すきっかけになるかも。

English Cafeでは、ケーキを英語で注文する以外「こうでなければならない」というのはありません。むしろ、「こんな選択肢もこんな世界もある。さあ、どうする?」状態。「なんだそれ?」と思う人は一度足を運んでみてください。いつもいる校舎の一角から、一切れのケーキをきっかけに、自分の世界が広がるかも。私も高校生の時にこんな場所に出会えていたら違う人生を送っていたのかなぁなんて、English Cafeをのぞきにいくたびに思います。

文・写真:辻田美穂子

 

プロフィール

辻田美穂子 | Mihoko Tsujita

大阪から移住した写真家。北星余市でのたくさんの出会いを通して人生が変わったひとりです。今年の春に余市からせたなに引っ越して子育てしながら、時々赤ちゃんを背負って撮影に出かけています。

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