時代の忘れ物

2023.03.02 コラム

人間環境大学 入試・広報部

遠藤弘子

HIROKO ENDO

私は最近つくづく思うのです。ようやく時代が私に追いついてきた!と。私が中学生の時、おかしなことがたくさんありました。なぜブルマをはかなければならないのか、なぜ自分の考えを言ってはいけないのか、なぜ学校生活で髪型や服装が制限されて、理由も聞かず従わなければならないのか、なぜこのような質問をしてはいけないのか、なぜ誰も質問に答えてくれないのか、なぜ、なぜ……。さまざまなことに疑問を抱く自分がおかしいのではないかと感じていました。当時の私は主体性を見失い、苦しみ、北星余市に進学しました。

北星余市では、さまざまな方法で教育する先生がいて、さまざまなことに取り組む生徒がいました。先生も生徒も個性豊か。それまで私が経験したことのない、自分らしくいられる学校生活がありました。おかしいと思ったことや疑問に思ったことについて、その結果がどうあれ、先生や仲間ととことん話ができる。そんな環境を、先生や仲間たちが与えてくれていました。この高校生活が、現在の自分らしく生きようとする「私」の礎です。

40歳になった今、仕事で求められることは、自由な発想と、ほかにはない誰にも思いつかないアイデアです。「当たり前」に疑問を持つことはおかしくないし、むしろそれが重要な視点であり、それを受け入れ求められる社会があります。社会の在り方は、少なくとも私の子ども時代とは大きく変化しています。中学生の私に「いずれ時代が追いついてくるよ!」と伝えてあげたいです。

現代は多様性の時代。これまで受け入れられなかった価値観などが受け入れられるようになり、少しずつ、多様な文化や個人の考えを尊重し受け入れようとする社会に向かっています。北星余市では数十年前から実践されてきたことです。私は思います。「ようやくか」と。時代の忘れ物。こうあってほしいと願った社会の在り方。その方向に向かっていることが、私は今とても誇らしいのです。

文:遠藤弘子

 

プロフィール

遠藤弘子 | Hiroko Endo

山形県長井市出身。北星学園余市高等学校卒(34期)。大学卒業後、小・中・高校で教員等、さまざまな立場で教育に関わる。現在は愛知県と愛媛県に4キャンパスを擁する人間環境大学の入試・広報部で部長代理、入試課長、アドミッションオフィサーとして、高校生の進路相談・進学支援を行っている。

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