忘れ物 /
忘れてはならないもの

2023.03.02 コラム

天ぷらそばが大好き

宮本元仁

MOTOHITO MIYAMOTO

我々日本人は「忘れ物」をしてしまった時、「戻ってくる」ことを期待する人が多いのではないだろうか。少なくとも私はそうだ。記憶にある限り、「忘れ物」をして結局戻ってこなかったケースのほうが少ない。

20代初めくらいに、レストランか喫茶店で数万円入った財布を置いてきてしまったことがある。店を出て数時間後に持っていないことに気付いた。その店に忘れたかもしれないと思い戻ってみると、店の人が「これかい?」とそれを渡してくれた。このようなことは、どうやら日本だけのようだ。その数年後に海外旅行をした時、現地のガイドに次のように言われた。「パスポートはホテルの金庫に。財布などの貴重品は各自の責任で。もし落としたり盗られたら、戻ってくることはない」というような内容だった。海外はそんな感じらしい。なぜ日本だけがこのような国民性になったのか。私たちの祖先は、毎年のように地震や台風等の自然災害に見舞われる国土という環境に対応し、耐えてきた。そして目に見えないものを敬い畏れる「天罰」という感覚を持ってきた。そのことが国民性を醸成してきたのだろう。上記のこと以外でも、他人や他国との関係の持ち方について、日本は世界に誇ることができるし、また、一部を除いて海外からそれなりに評価されている。このことを我々は決して忘れてはならない。そして、我々日本人の筋の通った考え方に基づいて、必要な段階をきちんと踏みながら、本当の意味での世界平和を実現していきたいものだ。

余談だが、今の私にとっては脳内の忘れ物が大問題。特に短期記憶はいただけない。数字やアルファベットの組み合わせは4文字が限界。この数年間、なんちゃらID、アカウント、パスワード等が私を苦しめる。「忘れ物」だらけだ。メモが欠かせない。あげくの果てに、そのメモがどこにあるのかを忘れる。脳にメモリーチップやSSDを埋め込みたい。

文:宮本元仁/イラスト:石川ちひろ

 

プロフィール

宮本元仁 | Motohito Miyamoto

2021年3月まで主に中学校の教員、免許は英語、得意技はalphabet clinic。現在は青少年対策室でシーガルズの担当。勤務時間以外は、YouTube等の動画や映画、時々読書という生活。天ぷらそばが大好き。

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