北星余市を紹介、生き方を考えるウェブマガジン
店舗を持たないフリーランス理容師
大沢一樹
KAZUKI OSAWA
私にとっての初めての大きな挑戦は、自分1人で岩手の地元を離れた、北星余市への進学だと思います。私は中学を卒業後、現役で北星余市への進学を決めました。産まれてから中学卒業まで14年間ずっと地元で育った私にとって、地元を離れて知ってる人が誰もいない土地で、知らない人達と一緒に生活を送るということは、当時の私にはとてつもない決断でした。期待と不安を胸に始まった北星余市での寮生活は、案外初めから楽しいものでした。ついさっきまで知らなかった人も、ほんの少し勇気を出して話し始めてみると知っている人になり、共に学校に行き、食事をして、風呂に入ったり。一緒に生活をしていると、いつの間にか知らない土地に1人で来た不安はどこかへ消えて無くなり、今まで周りにいた知らない人は知っている人になり、知っている人から仲間になっていきました。
中学生のときの大きな決断と挑戦は、沢山の経験と大切な仲間との出会いを与えてくれました。そんな素敵な出会いも、北星余市はたった3年間で別れのときを迎えてしまいます。卒業のときは大切な仲間とずっと一緒にいたい気持ちもあり寂しい気持ちでいっぱいでしたが、これは仕方がありません。3年間の生活の中で一歩を踏み出す勇気を得ていた私は、卒業後は誰も知っている人がいない仙台の理美容専門学校へと進学し、専門学校卒業後は誰も知っている人がいない東京のヘアサロンへ就職。13年就業して、また誰も知っている人のいない土地で独立しました。
それぞれの土地で、沢山の様々な出会いがあり、沢山の経験がその時々で自分の糧になっています。人生まだまだこれからですが。思い返してみれば中学のときにした「地元を離れる」という挑戦をしなければ、昨日と変わらない今日を毎日過ごして歳を取っていたかもしれません。もちろん、大切な仲間との出会いも無かったことでしょう。北星余市で出会った仲間とは15年以上経った今でも付き合いが続いています。
勇気を出して自分の知らない世界への一歩を踏み出す。これが今、私が思う挑戦です。
文・写真:大沢一樹
大沢一樹 | Kazuki Osawa
岩手県出身、北星余市41期。卒業後は仙台理容美容専門学校へ進学し、理容師免許取得後、都内のヘア サロンに就職。2022年に店舗を持たないフリーランスとして独立。現在は銀座と代官山のヘアサロンの一席を借りて活動中。